「集落」 180 × 140mm 岩絵具・土絵具

《集落》
 生活する共同体の家々
 空からは夜も絶えず宇宙線が降り注いでいる
 家族と兄弟たちの生活する集落は、
 優しく、あたたかく人を迎える
 闇夜でさえ温く、静けさに包み込む
「砂漠」は私にとって、とても大きな意味を持つモチーフでした。
アリゾナ州・荒野のメサに暮らすホピ族の人々と出会ったとき、
私は彼らの精神性が、彼らの住む大地の景色の中で育まれてきたことを知りました。

ホピの土地では陽光が家々を照らし、雲がここまで雨を運び、
夜は涼しさと星の明かりが、遮られることなく空からやってきました。
そして、建物も背の高い木々も何もない大地が延々と続くこの土地が、
空から降り注がれる恵みを、余すことなく受け取る豊かさに溢れているように見えたのです。
そのために、私はこのような風景を描くとき、
画面に雨や太陽の光、宇宙線を降らせて描き込むことがよくあります。

そしてこれは、たとえビルや建物に囲まれた場所に住んでいようと、
この恵みが既に充分にもたらされていることに気づけば、いつでも受け取ることのできる「心の豊かさ」であると思います。
日々の忙しさ、心の騒音からちょっと離れて。
静かで満たされた心の情景を思い出し、安らいでいただきたい。
そんな思いから生まれた絵画です。